1. 株式会社Craftie 代表取締役 康 瑛琴氏

東京都創業NETインタビュー

株式会社Craftie 代表取締役 康 瑛琴氏

株式会社Craftie 代表取締役 
康 瑛琴氏
大手コンサルティング会社に4年半、楽天株式会社に2年半務めたのち、趣味のクラフトに関する優良なウェブサイトやが少ないことから、自分で事業化しようとと決意。会社員時代の貯金をすべてつぎ込んで2016年4月、30歳最後の日に起業する。現在4期目。
株式会社Craftie Webサイト

オンライン全盛の時代だからこそ、
リアルなコミュニティが価値を持つ

株式会社Craftieの事業目的は、アートやものづくりを通して、あたたかいコミュニティを作ること。①ハンドメイドのワークショップ・体験・レッスンを検索して予約できるサービス「Craftie」、②ハンドメイドのレシピ記事やワークショップ情報を紹介するWebマガジン「Craftie Style」、③Craftieのワークショップナレッジを生かした法人向けサービス「Craftie Partnership」の3つを主な事業の柱としている。

最初は起業する気なんて全くなかった

もともとは大企業志向。起業して小さな会社の社長になるなんて考えたこともありませんでした。ただ、コンサルティング会社に勤めていたときや、転職して楽天で働くようになってからも、企業の戦略やマーケティングなど、事業計画やスキームを作ることが多く、計画の先の実行フェーズを経験するプロジェクトに参画する度に、実際に自分でもっと事業をしてみたいという渇望を覚えるようになりました。

それが急に現実味を帯びたのは、趣味がきっかけです。私はハンドメイドでアクセサリーなどの小物を作るのが好きで、よくハンドメイドショップに行ったりインターネットで情報を探したりしていたのですが、なかなかほしい情報にたどりつきませんでした。当時はキュレーションサイト全盛期でしたが、引用に引用を重ねたような記事ばかりで良質のコンテンツがない。クラフトレシピがほしくてハンドメイドショップに行くと紙のレシピがパーツとセットで売られていて、買ってみないと内容が見られない。紙なので検索性も悪い。はがゆく感じるばかりでした。

世の中にないなら、自分で作ってしまおう

「どうしてこんなにITから取り残されているのだろう、ハンドメイドのマーケットが小さくて割が合わないからかな」と思い、元コンサルタントのくせで、つい、趣味の領域についてリサーチしてみてしまったんです。すると、ハンドメイド人口は5人に1人と意外に多く、潜在的なマーケット規模は9000億円にのぼることがわかりました。リサーチしているうちに事業計画書ができあがったので、それをいろいろな方に見せて回りました。私自身はWebデザインもコーディングもできないので、詳しい方に聞いたり、人を紹介してもらったりして、とにかく何十人もの人たちにアドバイス・意見をもらいながら事業計画をブラッシュアップしていきました。

そのうち10人くらいの賛同者が集まり、勤務後のアフター6に勤めていた会社の近くの貸し会議室で事業の具現化に向けて議論するという日々が始まりました。でも、昼間は皆、仕事があるのでスピードが出ない。そこで、1か月後くらいには思い切って会社を辞める決断をして、独立する準備に取り掛かりました。

私は本来、大企業志向かつ安定志向だったので、心のどこかで「本当に辞めちゃっていいの?」という迷いがあり、決意するまでは1か月間、もれなく毎晩悪夢を見ていました。(笑) でも、いったん「起業する」と決意してからは迷いがふっきれて、悪夢も見なくなりましたね。

康瑛琴氏インタビュー

会社経営はエキサイティングで面白い

開業・運転資金は、7年間の会社員生活で貯めた貯金を充てました。それもあっという間になくなり、立ち上げ当初は自転車操業。でも今は、投資家やベンチャーキャピタルからの出資も集まっています。

Craftieの事業は、①ものづくりワークショップの予約サイトの運営、②Webマガジンの配信、③Craftieのワークショップナレッジを生かした法人向け事業の3本柱。今のところ、①②は無料のサービスで、収益を上げる事業は③のみです。創業時にいくつかのビジネスコンテストで優勝したことをきっかけに、大手企業からもワークショップの依頼をいただけるようになってきました。

とはいえ、資金繰りに苦労したり、組織が拡大する中で悩んだり、うまくいくことばかりではありません。よく「会社は生き物だ」と言われますが、そのとおりです。少しでも気を抜くとどこかに不具合が生じてくる。でも、だからこそエキサイティングでおもしろいんです。色々起こりますが、私にはものづくりのコミュニティを作りたいという明確なゴールとそのための目標がありますし、勝算はあるのでブレずに前進あるのみですね。

康瑛琴氏インタビュー

Craftieで世の中を幸せにしたい

オンライン全盛の時代だからこそ、リアルなコミュニティの価値は今後一層高まっていくと思います。従来は、SNSで何万人にリーチしているということが価値でしたが、これからはユーザーのエンゲージメントをどれだけ高めていけるかが勝負ではないでしょうか。数は少なくても良質なコミュニティと直につながりたいという企業はきっと増えていくでしょう。Craftieのワークショップは、ユーザーと密につながるためのひとつのチャネルになり得ると思います。

将来的にはCraftieがある世界となかった世界では、Craftieがある世界のほうが圧倒的に幸せの総量が大きくなっている、ということを実現したい。それができれば満足ですね。

康瑛琴氏インタビュー

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(※写真2枚:年末に講師をオフィスラウンジに招待して開催したクリスマス交流会の様子)

これから起業を目指す人へ

好きな言葉に、John F. Kennedyの「Every accomplishment starts with the decision to try.=すべての偉業は、やってみようという小さな意思決定から始まる」というフレーズがあります。大きなことを成し遂げようと思うと不安になるかもしれませんが、目の前のことからスモールトライすればいい。小さな意思決定を積み重ねていけばいいのだと思えば、すごく気楽になります。やりたいことがあるのなら、恐れずチャレンジしてほしいですね。

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