1. ラトナ株式会社 代表取締役社長 大田和 響子 氏

東京都創業NETインタビュー

ラトナ株式会社 代表取締役社長 大田和 響子 氏インタビュー

ラトナ株式会社 代表取締役社長  
大田和 響子 氏
東京女子大学卒業。子どもの頃の夢は母のような素敵な専業主婦になること。ところが、大学2年時に海外インターンシップを経験し、現地でバリバリ働く女性たちから刺激を受けたことで、180度方向転換。起業を目指すようになる。大学卒業後、楽天に入社。2年間経験を積んだ後に、外資系の大手コンサルティング会社、アクセンチュアに転職。仲間と立ち上げた週末勉強会から生まれたビジネスプランでVCからの出資を獲得し、26歳のときに起業。
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技術プラットフォームの提供を通して日本社会の問題解決に貢献したい

2018年に世の中にないものを創り、それを企業価値として高めていく「ホワイトスペースを狙う会社」というポリシーで創業。勉強会の仲間と事業をスタートした。IoT/エッジコンピューティングの技術やAI技術を使って、大手製造業や小売業、サービス業等を対象に、生産性向上の技術提供を行っている。

専業主婦願望から一転、起業家を目指すように

3姉妹の長女に生まれ、姉妹と母とは友達同士のように仲良し。将来は母のような専業主婦になりたいと思っていました。そんな私が、起業を目指すようになったのは、大学2年のときに米国LAのベンチャー会社でインターンシップをしたことがきっかけです。LAではバリバリ働く女性起業家がたくさんいて、すごくかっこいいと思ったのです。就活では、将来起業したいという希望を話し、それを受け入れてくれ、かつ「将来起業するために必要なスキルが磨けるか」という観点で会社を探しました。

最初に就職したのは楽天株式会社。営業を担当し、ここで学んだのは、自分のやりたいことと会社の求めるものにはズレがあるということ。私はクライアントさんが大好きになってしまう性質(たち)なので、クライアントのために提案、企画したいことと、会社から求められるKPIや達成すべき数字とのギャップに悩みました。そんな悩みに対する自分なりの解決方法は、「200%の力で働く。100%は1会社員として会社の目標、利益のために目標への絶対コミット。そして残り100%は自分の本当にやりたい、提供したいことのためにがんばれば両立できる」と発想を切り替えることで乗り越えましたね。体力には自信があるので、この手段を考えました。(笑)この頃から、会社のブランドだけでなく、個人でもクライアントへ価値を提供できる人になれるかは意識していました。

2年目には、ほぼ常に売上目標を達成し良い成績を上げることができました。もっと深い視野でクライアントの課題解決に取り組みたいと、コンサルティング最大手のアクセンチュアに転職。ここでは、大変質の高いパフォーマンスを求められるので、すごく鍛えられました。

社内勉強会をきっかけに起業

入社して3カ月ほど経った頃、自分の提案力を高めるために社内で勉強会を立ち上げました。フィンテック、ビッグデータ、ブロックチェーンなど、海外メディアで話題になっている最新のテーマを取り上げ、ディスカッションを行う会です。クライアントにより良い提案ができる、知識を持ったコンサルタントになりたい一心で始めた勉強会でしたが、1年半ほど続いた頃、ただディスカッションするだけでなく、この勉強会をもっと実用的にしたいと思い、勉強会メンバーでビジネスプランを練り、事業立ち上げをと考えました。アクセンチュア在籍中に起業し、出資をしてくれる投資家も見つかりましたが、「副業でやっているビジネスには出資できない」と言われ、腹をくくって完全独立することに。会社に辞表を出すと、最初は引き止められましたが、「転職なら止めるけど、自分のやりたいことで起業をするというものを止めることはできない」と認めてくれました。

ラトナ株式会社 代表取締役社長 大田和 響子 氏インタビュー

順調な滑り出し、その後も経営を拡大

まだまだ途中経過ではありますが、これまでの成長の秘訣は、最初は副業のような形で起業の準備をし、売り先や出資が決まってから起業したことだと思います。全てを賭けて起業、も素晴らしいと思いますが、始めてみてから勢いに乗ったら全てを賭ける、というのが会社員としての仕事も楽しみながら、もっと何かしたいとくすぶっていた私のやり方でした。

起業したいと思うだけなら簡単ですし、誰でもできます。しかし、実際に起業するとなると、簡単ではありません。いつ起業するのか、本当に会社を辞めて大丈夫か、メンバーたちはついてきてくれるのか、とても悩みました。そんなことを考えるうちに、まずは現職を捨てずにやってみようと動いたわけです。

創業メンバーは6人。皆、勉強会メンバーでした。事業のアイデアはいろいろありましたが、まずは製造業を対象に、IoTとエッジコンピューティングの技術を使った工場の自動化に取り組みました。アクセンチュア出身のコンサルタント経験者や優秀なエンジニアたちのおかげで、初年度の売上は4500万円。順調なスタートを切りました。

しかし、人、資金、売るべきプロダクトが間に合わないなど、常に何かが足りないのがスタートアップ企業の辛いところ。特に人は、会社の急成長についていけず、辞めてしまう人が多いのも事実ですし、慢性的に不足の状態です。人材紹介会社に依頼して優秀な人材を採用することでこの問題を乗り越えてきました。

仕事をする上で大切にしていること

採用面接をするときに必ず聞くことがあります。それは、「自分で将来やりたいことはありますか?」ということ。人のためとか、会社のため、だけにがんばるのでは、長く続きません。「人や環境に依存しない自分の本当に欲しいものを手に入れる目標があるかどうか」は、仕事をする上で非常に大切だと思います。ラトナという会社で働きたい、ではなく、自分のやりたいことができ、持っているスキルを発揮できる場所がラトナという会社。であってほしいです。

自身でも大切にしていることは、「自分が幸せだと感じる働き方をする」ということ。自分が幸せなら、今、どんなに仕事が大変でも辛いとは思いません。
たとえば、原宿の一等地にある「weworkアイスバーグ」にオフィスを構えた理由のひとつも、、普通の人の2倍、1日16時間働くとしたらどの環境なら働けるか、という基準があります。家賃はとても高いのですが、人の倍の時間働くのであればよいかな、と(笑)

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Googleのように誰もが使っているプラットフォームを提供したい

ラトナは、IoTやエッジコンピューティングの技術を使ったビジネスプラットフォームを開発し、企業に提供することで、ワークプロセスの自動化・生産性の向上を目指しています。
たとえば製造業であれば、工場の完全自動化を実現することにより、生産工程の効率化、従業員の作業の省力化、在庫の無駄や不良品の減少などを実現します。
今は、大手製造業や小売業を中心に技術提供していますが、もっとすそ野を広げ、あらゆる分野で、知らないうちに私たちのプラットフォームが使われている、そういう未来が理想です。現在開発中の、旅館向けエッジシステムやスマートシティに利用できる仕組みなど、日本の少子高齢化による労働不足解消に貢献できると考えています。

これから起業を目指す人へ

悩んでいる時には、小さな行動をしてみることをおすすめします。小さなことでもできることはたくさんありますし、ヒントをくれる人は回りにたくさんいます。今はSNSを通じて、どんなに偉い人とでもダイレクトにつながれる時代です。憧れている人に、インスタグラムやTwitterで直接メッセージを送って質問をするとか、ちょっとしたことでもいい。一歩を踏み出してみてはどうでしょうか。

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