1. 株式会社 ニューワールドカンパニー 代表取締役 小野 智広 氏

東京都創業NETインタビュー

株式会社 ニューワールドカンパニー 代表取締役 小野 智広 氏インタビュー

株式会社 ニューワールドカンパニー 代表取締役 
小野 智広 氏
北海道出身。大学では経営学を専攻。大学時代に起業家の自伝を読みあさり、自分も20代で起業すると決意。大学卒業後、ソニー生命保険株式会社に入社。その後、「地球を相手に一緒に仕事をしよう」と新興国に投資する証券会社の会長から誘われ、転職。会長からは多大な影響を受けた。起業の夢を叶えるために5年後に退職。ベトナム上場企業のM&Aに参画した後、帰国、ニューワールドカンパニーを設立した。
株式会社 ニューワールドカンパニー Webサイト

世界共通の課題を解決し、地球を相手に仕事をしたい!

株式会社ニューワールドカンパニーは、「世界のファッションテックカンパニー」を目指すスタートアップ企業。ヒールを取り外し着せ替えができるパンプス「FAMZON」の製造販売、AIを使った靴の履き心地測定サービス提供を行う「SureFIT」を事業の柱としている。

起業家の自伝に影響され20代で起業を決意

学生の頃から、松下幸之助さん、稲盛和夫さんなど、日本を代表する起業家の自伝を読み、社会に価値を提供しながら世の中にインパクトを与える起業家という生き方に憧れていました。そのうち周囲に「20代で起業する」と触れ回るように。周囲には無理だと言われましたが、言い続けていると、「いつ起業するんだ?」と周囲の反応が変わっていきました。人から何と言われても言い続けることの大切さを学びましたね。

大学卒業後は、社会勉強のためにまずは就職しました。ソニー生命保険で1年ほど勤めた後、新興国に投資をする証券会社の会長から「地球を相手に一緒に仕事しよう」と誘っていただき転職。この会長には海外出張をはじめ、政財界のトップや各国の大使との会合に同席する機会をいただき、視野が広がりましたし、トップの考え方や振る舞いを間近で学ぶことができました。

この証券会社には5年勤めました。「20代で起業する」というのが私の夢でしたが、大変よい環境で仕事をさせていただきましたし、会長からも止められ、退職するかどうか、とても迷いました。でも、尊敬する先輩起業家の「自分の人生を生きるのか、他人の人生を生きるのか」のひと言に背中を押され、会社を辞める決意をしました。

株式会社 ニューワールドカンパニー 代表取締役 小野 智広 氏インタビュー

世界共通の課題をIT技術で解決する

起業準備は何一つしていませんでしたが、「日本だけではなく世界共通の課題、今までにない価値を生み出せるイノベーティブな事業をする」と、軸だけは決まっていました。共同経営者の友人と事業アイデアを出し合い、“靴”というテーマに行きつきました。
マーケットリサーチをすると、世界の約20億人の女性が、靴に対する不満やトラブルを経験していることがわかりました。世界共通の課題である靴の問題を、日本で培われてきた靴づくりの技術や最先端のIT技術で解決していこうと思いました。

最初に手掛けたのは、世界初のヒールの取り外しが可能なパンプスの開発です。
ヒールをワンタッチで靴本体から取り外し、交換することが可能。ヒールと本体の組み合わせはのべ3000通り以上で、TPOに合わせて様々な組み合わせを楽しむことができるのが最大の特徴です。FAMZONというブランド名でネットショップを中心に販売しているほか、丸の内、羽田空港内に直営店も展開しています。

株式会社 ニューワールドカンパニー 代表取締役 小野 智広 氏インタビュー

開発段階で想定外の困難、しかしそこからビジネスのアイデアが

実は、FAMZONの靴が販売にこぎつけるまでは3年もの開発期間を要しました。靴のヒールには全体重がかかるため、はずれるようなことがあっては大変危険です。商品として世に出すためには厳しい安全基準をクリアしなければならなかったのです。その間、売上はゼロ。経営の厳しさを実感しましたね。

また、販売はネットショップが中心で試着せずに購入するために、サイズが合わない、履き心地がしっくりこないなどの理由から返品・交換が相次ぎました。しかし、ここに商機がありました。ぴったりの靴が見つからないという悩み、ネットショップでも安心して靴が買いたい、というニーズから生まれたビジネスが、SureFITです。

SureFITは、国立情報学研究所との共同研究からスタートしたAIオンラインフィッティングサービスです。購入者は一度足のサイズを測定し登録したら、SureFITを導入しているネットショップであればどこでも、靴を購入する際にAIが算出したフィット感に基づいて、最適なサイズの靴を提案してもらうことができます。せっかく買ったのに足に合わない、痛い、といったトラブルなく安心して靴を購入していただける仕組みです。
自分と似た足型の人のレビューを見ることができる機能も備えています。

SureFITは、消費者だけでなく、サイズ違いの靴の在庫を多数抱えなければならないという靴業界にとっても、無駄な在庫を持たなくてすむというメリットをもたらしました。

足の形は100人いれば100通りあります。これまで靴に関するトラブルは多かったにもかかわらず、履き心地を科学的に研究しトラブルを解決するということを、どこも行ってきませんでした。SureFITは、オンラインショップで安心して靴を購入できる仕組みとして国内外のスタンダードにしていきたいと思っています。

株式会社 ニューワールドカンパニー 代表取締役 小野 智広 氏インタビュー

経営で最も大切なことは「人」を動かすこと

起業はうまくいかないことの方が多いし、新しいチャレンジに反対する人、批判もたくさんあります。起業して6年経った今でもそれは変わりません。資金繰りには常に頭を悩ませていますし、課題をクリアしたらまた次の課題がでてくるという感じです。

しかし、最も大きな課題は、「人」ではないでしょうか。会社の中で部下をマネジメントするのと、経営者としてマネジメントするのでは雲泥の差があります。
チームマネジメントのみなら意思決定ですみますが、経営者は決断しなければいけません。

また、一人でできることはたかが知れているので、社員一人ひとりの力を引き出していかなければなりません。心を一つにするために、ビジョンをはっきり示さなければならないし、メンバーに信頼される経営者であるためには、日々鍛錬し、自分の器を広げていかなければならないと痛感しています。不可能だと言われることであっても、チーム一丸となってがんばれば、奇跡を起こし、軌跡を残すことができる、そう信じています。

どんな選択をしても成功に導く覚悟が必要

人生の岐路に立ち、どの道を選ぶか選択肢に迷うことってよくあると思います。
でも私は、選択肢にどちらが良いなんて意味はない、選んだ答えを正解にする覚悟と行動が大事だと思っています。

こっちを選んだから失敗した、と嘆くのではなく、選択した答えを何が何でも正解にする覚悟をもつこと。そして、誰よりも多くバッターボックスに立って、あきらめずにフルスイングし続けること。その二つは、私が会社を経営していく上でも、人生においても大切にしていることです。

起業を目指している人へ

起業をしようと思っても、実際に行動を起こすのは誰でも不安だと思います。これまでの仕事がうまくいっていればいるほど、今まで築いたものを捨てるのは勇気がいることです。
でも、会社のために生きる人生よりも、自分の人生を生きるほうが絶対に面白い。
こじんまりとした目標ではなく、大きな目標を立て、地球を相手に仕事する起業家が一人でも増えていくことを願っています。私もがんばります。想いはきっと叶います!

PAGE TOP