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宇宙ビジネス、市場規模2兆円 新規参入組に高まる期待

日刊工業新聞電子版
(2017/11/7 05:00)

  • 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  • 宇宙産業ビジョン2030
  • エスブースター2017
  • ビジネスコンテスト
  • 第4次産業革命
  • 経済産業省
  • 文部科学省
  • ベンチャー

宇宙航空研究開発機構(JAXA)と重工メーカーなどが手がけてきた宇宙開発に新規参入の機運が高まっている。政府は「宇宙産業ビジョン2030」で、宇宙産業の規模を現在の1兆2000億円から、2030年代早期に倍増させる目標を掲げた。達成には海外に比べて遅れている企業の新規参入が必要。衛星データの民間への開放やビジネスコンテストなどさまざまな取り組みが始まっている。(冨井哲雄)

内閣府が主催してビジネスコンテストが行われた(左から高田修三宇宙開発戦略推進事務局長、大賞を受賞した松本紋子さん、女優の剛力彩芽さん、山崎直子宇宙飛行士)内閣府が主催してビジネスコンテストが行われた(左から高田修三宇宙開発戦略推進事務局長、大賞を受賞した松本紋子さん、女優の剛力彩芽さん、山崎直子宇宙飛行士)

【発掘と支援】

10月末、内閣府が主催する宇宙ビジネスのアイデアコンテスト「エスブースター2017」の最終選抜会が開かれた。同コンテストは宇宙輸送などの宇宙技術、衛星のデータや運用ノウハウなどを利用したビジネスモデルの発掘と事業化支援が狙いだ。

実行委員会のメンバーには内閣府やJAXAのほか、ANAホールディングス(HD)、三井物産、大林組、スカパーJSATが名を連ねる。コンテストの来場者から投資を募り、ベンチャーや中小企業の宇宙関連ビジネスを創出することも目的の一つだ。

【個人で提案】

コンテストで大賞を受賞したのはANAに所属し、個人参加した松本紋子(あやこ)さん。放射したレーザー光の散乱などの観測データから風向きや風速などを計測する「ドップラーライダー」を利用した新ビジネスを提案した。

衛星に搭載したドップラーライダーで得られる風のデータから航空機の飛行経路と高度を最適化し、使用燃料と排出する二酸化炭素(CO2)の削減を目指すという内容だ。村上憲郎審査員長(元グーグル日本法人名誉会長)は「きわめて科学技術レベルが高い。事業の発展性もある」と高く評価した。

大林組は月面基地建設事業を提案。月にある水を水素や酸素に分解し、月面での消費や火星などへ航行する燃料にするアイデアを発表した。

最終選抜に残ったのは15件。高田修三内閣府宇宙開発戦略推進事務局長は「募集開始から1カ月足らずで300件以上の申し込みがあった」と民間からの関心の高さをアピールする。

【革命の駆動力】

宇宙産業ビジョン2030では、宇宙産業を第4次産業革命推進の駆動力と位置付けた。衛星データ利用の拠点や、小型ロケット打ち上げの射場の整備を重視する。

衛星データの利用では、経済産業省が政府保有の人工衛星データの民間への開放を促し、新産業を創出する取り組みを始めた。文部科学省、JAXAと協力し、18年度に政府衛星データの無償利用環境を整備する方針。産業基盤の拡大に向けて新規参入しやすい環境作りが着々と進んでいる。

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