1. ATTO株式会社 代表取締役 青山 今子 氏

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ATTO株式会社 代表取締役 青山 今子 氏インタビュー

ATTO株式会社 代表取締役
青山 今子 氏
中国吉林省生まれ。中国で公務員として約6年勤務した後、1995年に留学のため来日し、國學院大學経済学部を卒業。NTTコミュニケーションズ株式会社に就職し、中国語、韓国語、日本語の語学力を活かして海外事業に携わる。2006年にITに特化した人材派遣会社としてATTO株式会社を起業。2008年のリーマンショックにより、化学品原料の輸入販売や医薬品中間体の委託製造・販売を行う会社にシフトチェンジ。日本の製薬会社と中国・韓国のメーカーをつなぐ商社として活躍の場を広げている。
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日中の文化を知る強みと、中小企業ならではの
迅速さやきめ細かな対応で、大手企業がひしめく市場に参入

幼い頃から起業を目指していたという青山今子さん。安定した公務員という仕事を捨てて日本に留学。日本企業での就労経験の後、起業。2児の出産・子育てとの両立、リーマンショックによる存亡の危機をも乗り越え、化学品・医薬品の原料等を扱う専門商社として着実に成長を続けている。中国語・韓国語・日本語が堪能で、中国、日本の文化や商習慣に精通するという強みを活かし、双方がより良い信頼関係を築けるよう橋渡しをしつつ、迅速できめ細かく、質の高いサービスを提供している。

「起業家になる」という子どもの頃からの夢を叶える

中国で生まれ育ち、中国の大学を出て、北京で公務員として働いていました。公務員は安定していて人の羨む仕事でもありましたが、私は物足りなく感じていました。そんなとき、中国で留学ブームが起こり、その波に乗って28歳の時に日本に留学。國學院大學でビジネスを学び、卒業後はNTTコミュニケーションズ株式会社に就職しました。36歳で結婚しましたが、実は私には38歳までに起業するという夢がありました。子どもの頃から国際貿易に憧れ、いつかは世界中を飛び回ってビジネスを展開したいと思っていたのです。そこで、夫と2年間で1000万円貯めようと約束し、その2年間は週末にも遊びに行かず、新しい服も買わず開業資金を貯めました。

起業に必要なのは、覚悟と計画

妊娠を機に、NTTコミュニケーションズを退職。かねてから考えていたように起業しようと決意しました。

起業するには、安定した仕事を捨て、未知の世界に飛び込むという覚悟が必要です。

そしてもう一つ必要なのは計画です。2年間で1000万円の開業資金を貯めたのも、起業計画の一つでした。それと、妊娠してからの起業だったので、保育園に子どもを預けるために必要な手続きを事前に調べ、出産後、すぐに手続きできるように必要書類を準備しておきました。保育園だけでは足りないので、保育ママの制度を調べ手配しておきました。

2006年にATTO株式会社を設立。その頃日本はITバブルの崩壊から立ち直りつつあり、これから成長が見込めるであろうと、IT技術者に特化した派遣業をスタートしました。

リーマンショックによる廃業の危機を乗り越える

私とアルバイト1名の2人だけでスタートしたビジネスは、順調に業績を上げていましたが、2008年のリーマンショックで契約打ち切りが相次ぎ、廃業の危機に陥りました。事業を存続するために何かしなければと半年くらいは眠れない日々が続きました。

アパレルや化粧品、雑貨などのビジネスも考えましたが、あるときふと、以前、日本の知り合いから頼まれて、中国メーカーから化学品を輸入するという仕事を、契約書の翻訳や通訳などしてサポートしたことを思い出しました。貿易には以前から興味がありましたし、「ケミカル業界も面白いかも」とひらめき、現在の化学品輸入専門商社という事業をスタートしたのです。

その後も何度か人生の岐路に立たされたことはありますが、今振り返ってみると、重要な決断というものは、いつも偶然の出会いやひらめきがきっかけになることが多いような気がします。

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無名の会社が大手商社と戦うための戦術

化学品や医薬品について何の知識もないまま新規事業を始めましたが、外国人女性であることで、最初はどの企業も全く相手にしてくれませんでした。日本企業だけでなく、中国企業も同じでした。中国のメーカーは日本の大手商社と取引しているところがほとんどで、当社のような無名の会社が入り込む余地はありませんでした。

毎日電話をかけては断られ続け落ち込みましたが、くじけずに何度も電話をし、少しでも興味を持ってくれそうな気配を感じると、さらに積極的にアプローチしました。新規顧客を開拓するまでは、利益を度外視して、大手商社よりも低い価格で、大手企業よりも何倍も速く、詳しい資料を送り、迅速できめ細かな対応をすることで、少しずつ顧客を増やしていきました。

中国企業と日本企業では文化や商習慣が異なり、それが理由でトラブルになることもありますが、互いの違いや良さを丁寧に説明して理解をしていただきながら、winwinの取引を橋渡ししてきました。

こうした努力が実って、6~7年前は大規模な展示会に行っても全く知られていない無名の会社でしたが、最近になってようやく認知されるようになってきました。一度取引して気に入ってくださったお客様から新たな取引先を紹介していただくことも増えています。

ここ数年は、急成長によってマンパワーが全く足りず、人材の確保が急務となっています。日本では中小企業の人材確保は難しく、人材紹介会社を介して人材を確保しています。当社のような小規模な会社には身の丈に合わないコストですが、会社の成長のために必要な先行投資と考えています。

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10年後には100億円企業を目指す

今後は営業部隊を強化し、CSR、ISOを含め、組織体制をしっかりと構築していきたいと考えています。ここ3年の当社の売上は10億、20億と右肩上がりで、来年早々には、30億に迫ろうとしています。10年後には自社ビルを持ち、売上100億企業を目指したいと思っています。

プライベートでは、二人の子どもを一人前の社会人として自立させ、社会に貢献できる人間に育てあげることが親としての務めと考えています。

起業をするなら、命を懸けるくらいの覚悟で

私はもともと、やるからにはその領域で一番を目指したいという性格です。寝る間を惜しんで働いたり、お金や経営の不安で眠れない日々もありました。脳梗塞で倒れ、入院中の病院から抜け出して商談に臨んだこともあります。ですが、苦労が多いからこそ結果が出たときの喜びも大きい。この達成感があるからやめられません。私の生き甲斐ですね

韓国語では「社長」の「社」は「死」を、「長」は「葬」を表し、「社長には死んで埋葬される覚悟が必要」といわれています。現代社会で「死」は言い過ぎかもしれませんが、会社を経営して利益を上げ、社員を養って税金も支払い、事業を存続していくためには、そのくらいの覚悟が必要だということなのです。

さらに、子育てもしながらの経営となると、相当の努力が必要です。決して自分ひとりではできないことで、私も、保育園や保育ママさん、自分の姉や夫の力も借りてなんとか両立をしてきました。

経営は大変ではありますが、がんばれば必ず手を差し伸べてくれる人はいます。これから起業したいという皆さんも、ぜひ覚悟を持って、支えてくれる人たちに感謝しながら全力投球してほしいと思います。

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