1. 株式会社sci-bone 宮澤 留以 氏

東京都創業NETインタビュー

株式会社株式会社sci-bone 宮澤 留以 氏

株式会社sci-bone
宮澤 留以 氏
2019年3月信州大学大学院総合理工学研究科修了。2019年4月から繊維メーカーにてウェアラブルデバイスの研究開発に従事。スタートアップにて計測アルゴリズム開発・検証、PoC推進を経験し、2022年2月に株式会社sci-boneを設立。
株式会社sci-bone コーポレートサイト

スポーツ×テクノロジーで、動作課題を解決する

ランナーの動作を改善する「sci-move」

首元にあてるウェアラブルデバイスから体を動かしている際のデータを、独自の解析AIで測定・解析することで、ランナーの生活をサポートするウェアラブルサービス「sci-move」を開発しています。
例えばマラソンをする際に腕を振ることで、もう少し早く走れるようになると指導を受けても、どの程度腕を振ればいいのか、振りすぎにならないのかを正確に把握することはできません。しかしデータを解析することで、その人に最適な腕の振り方を予測して、パフォーマンスの向上につなげたり、走っているときに関節にかかる力を測ってリスクを算出し、けが予防につなげる判断材料にするなどします。
ウェアラブルデバイスを活用した当社の技術は、もともと歩行や健康面の技術を応用したもので、アスリートだけが対象ではありません。スポーツだけでなく、広い意味での運動、日常生活の中での動作を解析し、誰もが手軽に動作を習得したり、改善したりできる機会の創出に貢献したいと考えています。

株式会社株式会社sci-bone 宮澤 留以 氏

すべては理想のサービスをつくるため

私は子どもの頃から運動が好きで、中学生のときに陸上の長距離走を始めました。大学では全日本大学駅伝に出場もしましたが、何度もけがをしてモチベーションが下がり、走ることを諦めてしまいました。
アスリートではなくなってもスポーツに関わり続けたいと思い、大学でスポーツウエアの研究開発に注力するようになりました。アスリートを支えるスポーツウェアをつくろうと、生地や換気機構の開発を行いましたが、繊維では限界があると感じ、テクノロジーとスポーツウエアを掛け合わせたものをつくりたいと考えるようになりました。大学院を出た後に繊維メーカーに就職し、新規事業部に配属されウェアラブル事業を担当しました。希望どおりの仕事に就けたのですが、もっと新しい技術を活用して、革新的なものをつくりたいという思いが増し、起業しようと考えるようになりました。
その後、スタートアップで生体データの解析アルゴリズムの研究開発を経験します。これも私の考えるサービスを生み出すのに不可欠だと思ったことと、スタートアップがどのように成長していくのかを経験しておきたかったからです。起業に必要な技術や経験を少しずつ体得していきながら準備を進めていきました。

株式会社株式会社sci-bone 宮澤 留以 氏

この事業でやっていけるという自信が持てた

起業する前は大阪在住でした。いろいろ調べてみると、東京のほうが人材は集まりやすく、サービスに必要な技術を集約しているところも関東近辺に集中していました。東京都が実にさまざまな創業支援を行っていることも調べて確認済みだったので、起業するなら東京でと考えました。上京する直接的なきっかけになったのは、スタートアップコンテスト・TSG(TOKYO STARTUP GATEWAY)への参加です。TSG2021のファイナリストに入り、東京でやっていけるという手応えを得ました。2022年2月に上京して起業し、ASAC(青山スタートアップアクセラレーションセンター)の第15期にも選んでいただくことができました。
TSGでは、初期の段階でサービス内容をブラッシュアップができたことが良かったです。これが事業になるのかどうかの可能性を早い段階で確かめられ、一定の評価を受けたことが自信につながりました。それからASACでは、すでに大型の資金調達を行い、事業フェーズが進んでいる同期の話を聞く機会に恵まれ、学ぶことが多かったです。同期とは今も連絡をとっていて、たまに集まったりしています。そうした横のつながりができたこともプラスになりました。

株式会社株式会社sci-bone 宮澤 留以 氏

運動に関連する負の側面を減らす

東京都中小企業振興公社が主催している多摩ものづくりスタートアップ起業家育成事業で、2024年3月に開催される立川シティハーフでの実証実験の機会を得ました。まずは「sci-move」を、2024年内を目処に正式にリリースすることが当面の目標です。
「sci-move」を活用しながら、運動シーンでもデータをとって活用することを、当たり前にしていきたいです。スマートウォッチなど多くの人がウェアラブルデバイスを使い、心拍数をとったり、睡眠の状態を確認することも珍しくなくなった今、運動シーンでも必ずデータの活用が当たり前になると確信しています。
データの活用が当たり前になれば、例えばどうしても指導が一律になりがちな体育の授業などで、パーソナルなデータをもとに個々に習得に向けたアプローチができるようになったり、データの活用でスポーツができるようになる機会を増やして苦手を克服するなど、運動に関連する負の側面を減らしていくことに貢献していきたいです。

株式会社株式会社sci-bone 宮澤 留以 氏

起業を目指す方へのメッセージ

当社と同じように研究開発系の事業は、資金や設備がない状態からの立ち上げは大変ですが、わずかな資金で検証できることから少しずつでもいいので続けていくことで、チャンスをつかめる機会が巡ってきます。まずは諦めないことです。
その機会の一つが、東京都の創業支援だと思います。たくさんの支援がありますが、最初から大きな支援は受けられません。私も最初はTSGに応募して実績をつくってからASACに挑戦しましたが、他の支援事業に応募して書類審査で落ちたこともありました。小規模なところからでも積極的に応募して、まずは打席に立つ。そして打率を上げていくしかない。支援を受けて事業を拡大し、その時点の事業や会社のフェーズに合った支援につなげていくことが大事だと思うので、ぜひ活用してみてください。

記事内の創業・成長支援プログラム

TOKYO STARTUP GATEWAY

TOKYO STARTUP GATEWAYは、テクノロジーから、モノづくり、ソーシャルイノベーション、リアルビジネス、グローバルを見据えた起業など、分野を越えて、「東京」から世界を変える若き起業家を輩出するスタートアップコンテストです。
優秀なビジネスプランなど、初めは必要ありません。「こんな世界や世の中をつくりたい、みてみたい。」その、あなたに秘めた夢・情熱こそが全てのはじまりです。この場に集まる仲間や応援団と共に、真に世界を変えていける力を、思い切り磨いていってください。

青山スタートアップアクセラレーションセンター

5か月間のアクセラレーションプログラムを通して、アクセラレーターや先輩起業家、さらには大志を持った多くのメンター陣の支援を受け、リーディングカンパニーへと成長するための機会と場を提供しています。特に女性起業家や成長産業等、東京都の政策課題に取り組む方々や、ソーシャルやものづくり等、ベンチャーキャピタル(VC)が投資しにくいといわれる分野で起業に取り組む創業予定者やスタートアップ企業をメインのターゲットにしています。

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