1. Patisserie QuroNoir パティスリークロノアール 代表 永堀 浩矢 ⽒

東京都創業NETインタビュー

Patisserie QuroNoir パティスリークロノアール 代表 永堀浩矢⽒インタビュー

Patisserie QuroNoir パティスリークロノアール 代表
永堀 浩矢 ⽒
20年間の修行を経て、2021年1月に生まれ育った地元・葛飾区のみのり商店街内に開業。
世界でもっとも黒いココアを研究してきたノウハウと、パティシエとして培った技術をあわせ、ここでしか味わえない「黒いフランス菓子」を提案している。
Patisserie QuroNoir パティスリークロノアール Webサイト

“黒いフランス菓子”で地元・葛飾の雇用を増やし、地域活性に貢献したい

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お菓子づくりとの出会いは小学2年生

甘いものが好きで「ホールケーキを丸ごと食べたい」と、既成のスポンジケーキにクリームを立てて塗ったのがお菓子づくりのきっかけでした。ケーキにフルーツをはさみたい、スポンジから自分で焼いてみよう、クッキーも作りたい…と幅を広げていき、バレンタインデーのお返しや中学時代お世話になった先生へのお礼に贈るようにもなりました。これを仕事にしようと決めたのは高校1年生の夏。ケーキ屋でアルバイトを始めたのですが、皿洗いをしながらボウルに残ったスポンジの生地感を手で無意識のうちに確かめている自分がいました。働きだして間もない頃でしたが、先輩の作るお店のスポンジ生地を覚えて、自分でも作ってみようとしていたのだと思います。「教わらずとも自然と知識を吸収しようとするなんて、きっとこれが天職だな」と認識し、以来ずっとこの道を進んできました。

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届けたい相手がいるから“地元”で開業

高校時代はアルバイトを続け、卒業後はパティスリーに就職。フランスにも2年ほど渡り、国内外で20年お菓子づくりを学んで来ました。修行し始めた当初からいずれは独立して自分の店を持ちたいと考えていた中で、出店する場所を決めたのはフランスにいた頃でした。決め手は「つくったお菓子を誰に届けたいのか」でした。海外での生活も肌に合っていたのでフランス出店を考えたこともありましたが、届けたい人は自分の親、修行を始めたときに支えてくれた友人やその家族など、日本にしかいません。店を開く場所は、自分のお菓子づくりを応援してきてくれた人がいる“地元”にしようと決めました。

修行時に出会った“黒いお菓子”という強みを店のコンセプトに

パティスリー クロノアールのコンセプトである“黒いお菓子”に出会ったのは、企業パティシエをしていた時です。コンビニで黒いお菓子が流行していた時期に、黒色のお菓子をつくれる「ブラックココア」を知りました。全国の大手製菓メーカー各社へ商品の企画提案などを行う中で、私の強みは「ブラックココア」だと思うようになりました。全国のお土産店等から黒いお菓子を販売したいという要望は届くのですが、黒いお菓子をつくるとキッチンが汚れてしまうので洗浄の手間がかかりますし、その分商品の価格を高く設定しなければなりません。一般の会社でほかのお菓子を作りながら、黒い商品も製造するのは難しいことなのです。そこで、「黒いお菓子だけを作れば、洗浄の必要がなくなるな」と気が付きました。お菓子を黒く染めること自体が楽しくて好きだったし、黒い商品だけを並べる店なら、他のパティスリーの競合にもなりません。それで修行してきた技術を活かし、おいしくて黒いお菓子の店の出店を決意したのです。

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東京都や葛飾区の支援事業を活用して創業準備

創業までの準備期間を2年とし、2021年1月に店をオープンすると決めました。しかしこの時点では、“地元”で“黒いお菓子”の店を出すことしか決まっていません。葛飾区の創業相談窓口へ行ったところ、無料の創業塾があることを教えていただき、その場で申し込みました。合わせて東京都よろず支援拠点で中小企業診断士の先生方に相談・提案を重ねてビジネスプランをつくりながら1年ほど経った頃、新型コロナウイルスが流行し出したのです。出社ができなくなり時間ができたのを機に、創業塾で教えていただいた助成金の申請をすることに決めました。希望の条件に合うテナントを地元商店街内に見つけたため、東京都の「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」「商店街起業・承継支援事業」に応募し、いずれも採択が決定。最終的に「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」で支援を受けることになりました。 都の助成金がいただけたことで立ち上げる事業に信頼を得られたのか、金融機関からはスムーズに融資を受けられました。資金不足やビジネスモデルをつくる部分が何年もの間独立への障害となっていましたが、東京都の独立支援事業を活用して創業することができました。活用して良かったです。

働き続けられるパティスリーで、地元に還元できる事業を

クロノアールでは、これまでのパティスリーとは違ったパティシエの働き方を模索しています。電話予約・多様な決済方法・早朝から夜遅くまでの勤務など、現在いる10名の従業員が負担に感じてきたことをなくし、長く働き続けられる働き方を実現しようとしているところです。パティスリーには手を止められない仕事が多くあるので、負荷になることはできるだけなくして、家族との時間も大切にしながらおいしいお菓子作りに専念できる働き方を実現したいと思っています。またパティシエは、勤務時間が長く負荷が大きいことから、復帰の難しい仕事です。出産等で一度職場を離れた女性が子育てをしながら週1・2回でも勤務できるパティスリーにしたいと、環境を整えているところです。女性が働きやすい職場を作ることは、その旦那さんを支える事業でもあるはずです。今後さらに雇用を増やせるよう事業規模を大きくしながら、人とのつながりを広げていき、地元・葛飾に還元できる事業に育てていけたらと考えています。

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起業を目指す方へのメッセージ

自分の店を開いて思うのは、創業するならつぶさないビジネスをすべきだということです。小さな事業でも周囲の人を巻き込んでいるでしょうし、取引先やお客様もいるはずです。創業したら継続できるよう、リスクになることは十分に考える時間をとって、リスクを回避できる方法を考えてからの開業でも遅くはないと思います。私は自分の店をもつまでに20年かかりましたが、おかげでいろいろな問題を乗り切るための知識や、新商品を出し続けられるアイデアが蓄積されました。準備に時間をかけた分だけ、細やかな配慮ができる事業がつくれるはずです。東京都には無料で創業サポートしてくださる取り組みもたくさんあります。ビジネスモデルを複数の先生に見ていただいてブラッシュアップしながら、助成金事業などもうまく活用してチャレンジしてほしいです。

記事内の創業・成長支援プログラム

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

都内商店街で女性又は若手男性が新規開業をするに当たり、店舗の新装又は改装及び設備導入等に要する経費の一部を助成することにより、商店街における開業者の育成及び支援を行い、都内商店街の活性化を図ります。

商店街起業・承継支援事業

都内商店街で新規開業又は既存事業の後継を行う中小小売商業者が開業等をするに当たり、店舗の新装又は改装及び設備導入等に要する経費の一部を助成することにより、商店街における開業者や事業後継者の育成及び支援を行い、都内商店街の活性化を図ります。

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