1. SHALONE株式会社 代表取締役/ピアニスト 水野 彰子 氏

東京都創業NETインタビュー

SHALONE株式会社 代表取締役/ピアニスト 水野 彰子氏インタビュー

SHALONE株式会社 代表/ピアニスト
水野 彰子 氏
1990年生まれ、愛知県出身。室内楽ピアニスト、声楽伴奏・合唱伴奏ピアニストとして活動し、これまでに多くのオペラ歌手や弦楽器・管楽器奏者と共演。2020年に良質な音楽を届けることのできるサービス環境を整えたいとSHALONE株式会社を創業。自身もピアニストとして活動している。
SHALONE株式会社 Webサイト

音楽家にとってより良い演奏環境を整え、良質なクラシック音楽を皆さまの元へ届ける。

SHALONE株式会社は、”ホームコンサート”や”プライベートコンサート”で、間近だから味わえるスペシャルで贅沢な音楽体験を通して、日常を豊かに彩る時間を提案している。

SHALONE株式会社 代表取締役/ピアニスト 水野 彰子氏インタビュー

ピアニストを夢見て練習に励んだ学生時代

3歳からピアノを習っていたこともあり、音楽は常に身近な存在でした。ピアノを弾くことが自然と好きになっていき、高校生の頃にはプロを目指し本格的なレッスンを受け、さらなる高みを目指して、国内の音大で最高峰と言われている東京芸術大学音楽学部に挑戦し入学。ソリストとして一流の環境と講師の元でピアノを学べることになりました。
その頃、順調に演奏者として技術を磨いていたのですが、ソロでピアノを弾くことに少し楽しさを見出せなくなっていた時期がありました。そんな折、授業で室内楽という演奏に出会いました。室内楽はヴァイオリン、チェロ、ピアノのトリオなど複数人で演奏するのですが、これがすごく楽しくて。「私がやりたい音楽はこれだ!」と、さらに室内楽を探求するため大学院に進学。同時に、実際の公演現場でより多くのことを学ぶ必要性を感じて、新国立劇場でオペラの制作に携わり従事する機会を得ることができました。

コロナ禍での活動制限が起業を志すきっかけに

新国立劇場で働きだし、ピアニストとしてのキャリアもスタート。多くのオペラ歌手や楽器奏者と共演を重ね、ピアニストとして順風満帆な日々を送っていました。それが昨年、コロナ禍になり演奏活動が軒並み中止。オフラインでの活動も制限されるなど私自身半年間全く仕事のない不安な日々を過ごしました。連絡を取り合っていたアーティスト仲間も同じ状況に皆頭を抱えており、「自分たちで演奏の機会を創出していかなくてはこの状況は変えられない」と、自ら起業を考えるようになりました。しかし、経験の無い起業というハードルを前に何から手を着けて良いのかわかりませんでした。そのような中、勇気を出して音楽活動を通して知り合った経営者の方に相談したんです。そしたら「演奏機会を今後増やしていくなら、個人より会社の方が絶対に良い」と強く後押ししていただき、起業を考えるなら絶対に良い機会になるからとAPT Womenをご紹介していただきました。
ちょうど私の妊娠が判明した時期でもあり、今まで通り朝から晩まで公演で何回も演奏するような活動も身体的に難しくなってくるなと感じているところでした。30歳になる節目であり、新たに母親になる歳、さらにはコロナ禍も重なり、「行動するには今しかない!」と起業を決心することができました。

先輩起業家との出会いとプログラムでの学びが起業への自信と活力に

紹介していただいたAPT Womenは募集締め切りまで1ヶ月を切っていましたが、今の私には絶好のチャンスだと感じ急いで事業内容を練って応募。運良く選考を通過し、APT Womenに参加することができました。起業前の私にとっては資金調達など勉強になることばかりで、起業後の今、プログラムで学んだことが経営にすごく生かされているなと感じます。それと、プログラムに参加する過程で先輩女性起業家の方に出会えたこともすごく財産になっています。当時、起業に向けて準備段階の私にとっては、皆さんの活動そのものが刺激的で、同じ女性で頑張っている姿を見て勇気をもらいました。さらには、皆さんとランチをした際、「何か一緒にやりたいよね!」と話していたアイデアが、ちょうど今、形になろうとしています。APT Womenに参加できたことで、学びからの自信、出会いからの活力を得たように思います。

SHALONE株式会社 代表取締役/ピアニスト 水野 彰子氏インタビュー

アーティストの環境も整えていきたい

起業後、コンサート会場の方やアーティスト仲間など応援をしてくださる方がとても増えたと同時に、アーティストの現状など多くの悩みを耳にするようにもなりました。例えば、演奏会などで支払われるアーティストのギャラの問題。今は演奏機会が減少していることもあり、とても優秀なアーティストでさえ実力に見合わないギャラで演奏を引き受けている現状を知り、アーティストの価値も守っていかなければいけないと強く感じています。

自身が“母でありピアニスト”のモデルケースになるような活動を目指して

出産を経験し、母としてアーティストとして活動していく厳しさも痛感しています。1つは、演奏会場での必要な情報の少なさ。2つ目は「母親=忙しい」が定着し、子供がいるというだけで演奏依頼が減ってしまうことです。私自身、コンサートホールに託児所があるかなどの情報がないために、演奏を断ろうか悩む事も多くあります。しかし、実際は託児所やシッターさんと提携している会場も多く、子供がいる方にも優しい環境が現場には整ってきています。
また、有益な情報をもっと発信していかなければ現状は変わらないと、自社サイトでママさんアーティストのインタビューコンテンツを立ち上げました。リアルな内容に反響も大きく、自身のキャリアと家庭のバランスに多くの方が悩んでいるんだなと改めて実感。まずは、私自身がモデルケースになれるよう活動をする事で、女性アーティストの皆さんが出産しても安心して活動できる環境を整えていきたいと思っています。

SHALONE株式会社 代表取締役/ピアニスト 水野 彰子氏インタビュー

自社の知名度を上げて、良質な音楽を皆さまの元へ届けたい

現在、事業が少しずつ軌道に乗り始めた中で、新たな演奏の場の創出やアーティストの価値をさらに向上させてゆくには、主催者様に信頼していただけるだけの実績がもっと必要だなと感じています。1つ1つの実績を大切に、一人でも多く会社のファンを増やすため、同じ夢を志す仲間とともに様々な企画を練って提案しています。営業活動は大変ですが、アーティストにとっては当たり前のことが他の業種の方には新鮮なアイデアに見えるなど、この事業にはまだまだ多くの可能性が秘められているなと自信にも繋がっています。
会社の知名度を上げ、安心して良質な音楽を届けることのできる環境を整えていきたいです。

起業を目指す人へのメッセージ

「人に頼ること」ですね。何事も自分一人で抱え込まず、周りに頼り相談してください。目の前のことにいっぱいいっぱいだと自然と視野が狭くなっていくなと痛感しました。誰かに話を聞いてもらうことで気持ちが楽になったり、新たに気づかされることも多くあります。自身に余裕ができたときはみんなの声に耳を傾けてみてください。私自身そうであったように、新たな目標が見つかるかもしれません。そして、何事も行動あるのみです。やりたいことや目標がある方は、まずは行動に移してみてから考えても遅くはないと思います。

記事内の創業・成長支援プログラム

Acceleration Program in Tokyo for Women「APT Women」

APT Womenは、スケールアップを目指す女性ベンチャーに対し短期集中型育成プログラムを提供することで、スケールアップに必要な経営知識やスキル、それらを共有するベンチャー企業同士の繋がり、更に事業展開に欠かせない協力者・支援者(ベンチャーキャピタル、メディア、大企業等)とのネットワークの獲得を支援します。

PAGE TOP