1. Trash Lens株式会社 山本 虎太郎 氏

東京都創業NETインタビュー

Trash Lens株式会社 山本 虎太郎 氏

Trash Lens株式会社
山本 虎太郎 氏
2001年生まれ。幼い頃からゴミに関心があり、捨てずに活用できる方法を考える一方で、独学で習得したスマホアプリ開発の技術を使い、高校生の時にゴミの分類方法が分かる「Trash Lens」の前身となるアプリを開発。大学在学中の2023年7月にTrash Lens株式会社を設立。
Trash Lens株式会社 コーポレートサイト

スマートフォンにモノをかざすだけ。モノの活かし方を知り、環境問題に寄与する

モノの価値を最大化するためのアプリ

Trash Lensは、スマートフォンのカメラにかざしたモノの捨て方、売り方、活用法が分かるアプリです。不要になったモノは捨ててしまえば単にゴミですが、適切に分類したり、引き取ってくれる店や相手を見つけたり、修理して活用する、リユースするなどすればゴミにはなりません。Trash Lensで活かし方を知ることで、ゴミとなるはずだったモノの価値を最大化させたいと考えています。
幼少の頃に、スナック菓子の紙製容器などのゴミを使っておもちゃをつくっていた記憶があります。小学4年生の時にはゲーム機を買ってもらい、ソフトウェアを改造して自分流にカスタマイズすることを学びました。技術を知れば自分でもゲームをアレンジできることを知り嬉しかった事を覚えています。
一方でゴミへの興味も尽きず、学校に行けば教室のゴミ箱が気になり、ゴミ箱をひっくり返して分別していました。すると友人から「世の中にはたくさんゴミがあるのに、教室の中だけ分別しても効果はない」と言われました。そうだと考え直し、仕組みをつくらないと世の中の課題は解決されないんだと思うようになりました。

Trash Lens株式会社 山本 虎太郎 氏

インターン先で芽生えた起業への思い

私は長年、ボーイスカウトに所属しています。ベンチャースカウト(高校生の年代)において最高位となる「富士章」は、積極的に社会貢献を行うなどした優秀なスカウトに贈られます。その「富士章」がほしいという動機から、興味のあったゴミ問題とプログラミングを組み合わせ、「ゴミ箱ぽいぽい」というアプリを作成しました。ゴミ箱の場所をユーザー間で共有するものでしたが、公開はしたもののユーザーはまったく増えませんでした。
そこからさらにプログラミングに熱中し、Trash Lensの原型となるアプリを2018年に開発しました。高校3年生の時です。ただ、この段階では起業したいとまでは考えておらず、自分の好きなものをつくる喜びのほうが大きかったと思います。
大学1年生の秋から環境問題に取り組む株式会社ピリカでインターンをすることになり、環境問題への取り組みを事業化することで、社会に影響を与えるような規模に拡大できることを知りました。ピリカの小嶌不二夫社長に相談したところ、やりたいことにチャレンジすべき。ピリカでインターンを続けるのではなく、事業化に専念したほうがいいとアドバイスをいただいたことで事業化を目指すようになりました。

事業内容をブラッシュアップするきっかけに

東京から世界を変える若い起業家を輩出するスタートアップコンテスト、TSG(TOKYO STARTUP GATEWAY)に参加したのは、起業に関した知識がない、相談できる人がない、ネットワークもないという状況から脱するためです。結果として、人とのつながりができ、参加して良かったと思っています。
それからメンターによる指導のもと事業計画を作成したおかげで、Trash Lensのサービス内容をブラッシュアップすることができました。高校生の時に考えていたTrash Lensは、ゴミの分別が中心でしたが、分別だけではアプリの利用動機につながりにくいだけでなく、例えば日本の自治体の65%程度がプラスチックを燃やす際に発生する熱エネルギーを利用するサーマルリサイクルを導入しているため、分別すれば必ずしも環境に良く働くとは限りません。そこでアップサイクルやリユースにつなげてモノの価値の最大化につなげようと考え直し、その要素を加えていきました。TSGに参加したことで、Trash Lensのサービス内容を定めることができたと思っています。

Trash Lens株式会社 山本 虎太郎 氏

方向性が定まりきらない苦しさ

TSGを通して経営者とは何なのかということも考えるようになりました。それまでの私は経営者とは関係している人全員の意見に耳を傾けることが大事だと思い込んでいました。もちろん周囲のアドバイスや意見は聞くべきですが、聞きすぎてしまい、プロジェクトの方向性に迷いが出たり、Trash Lensは実現できないのではないかと悩みました。私自身がはっきりと定まっていなかったのだと思います。やればやるほど、自分の弱みがどんどん明らかになっていき、厳しいと感じることも多かったです。
それでもプロジェクトを立ち上げ、起業したことで、過去に経験がないほど自分のやりたいことを応援してくれる人が増えたことが心強く、励みになっています。

Trash Lens株式会社 山本 虎太郎 氏

誰もが無意識にTrash Lensを使う世の中に

Trash Lensを2024年3月に正式リリースの予定です。Trash Lensで私が実現したいのは、誰もが意識することなくより良い資源活用を行える世界です。この意識することなくというのが重要な部分で、意識せずに使えるまでにならなければ真の資源活用は進まないでしょう。そのためにはTrash Lensを使うという垣根を、極限まで低くする必要があります。
アプリを開いている時点である程度、環境問題やエコに興味がある人だと言われるかもしれません。しかし無意識にまでもっていくには、まだ抜本的な対策はありません。まずは第一歩を踏み出すための垣根をぐんと下げ、Trash Lensをより多くの人に活用してもらえるよう努めていきます。

Trash Lens株式会社 山本 虎太郎 氏

起業を目指す方へのメッセージ

少しずつ自分たちのことを知ってもらえるようになると、こういうプロジェクトがあるから参加しませんかと声をかけていただける機会が増えます。それはとてもありがたいことだし、参加したらもっと知名度が上がるのではないか、何かしら自分たちにプラスになることがあるのではないかと思うのですが、そこは冷静に考えて選択しないと、当初目指していた世界観からズレる可能性が高いです。
自分の実現したい世界があって、つくりたいものがあって起業したわけですから、その志を常に行動の軸に置き、志を貫くことがとても大事だと思います。

記事内の創業・成長支援プログラム

TOKYO STARTUP GATEWAY

TOKYO STARTUP GATEWAYは、テクノロジーから、モノづくり、ソーシャルイノベーション、リアルビジネス、グローバルを見据えた起業など、分野を越えて、「東京」から世界を変える若き起業家を輩出するスタートアップコンテストです。
優秀なビジネスプランなど、初めは必要ありません。「こんな世界や世の中をつくりたい、みてみたい。」その、あなたに秘めた夢・情熱こそが全てのはじまりです。この場に集まる仲間や応援団と共に、真に世界を変えていける力を、思い切り磨いていってください。

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